Photo & Text : Hiro Murata (TOKYONUR)
28th Annual YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2019
■Chapter.01
日本の、いや世界のCar Showの最高峰といって間違いはないMooneyes Hot Rod Custom Show(HCS)。そのレベルの高さは別の意味では敷居の高さのあらわれでもあり、半端な気持ちでエントリーすると、その筋の人達からの冷たい視線が集中することとなる。
それ故に、カスタムに精通しているビルダーであればあるほど、HCSへのエントリーを躊躇しがちであった。
■Chapter.02
“WEKFESTを始めとしたハイエベルのカーショーの常連達のメイクは、もはやホットロッドといっても過言ではない。”
ワタシはそんなことを2017年の段階で感じていたりもした。
その流れを現実のものとしたのは、DBインテグラで数々のアワードを受賞していたEto-sanだ。2017年にHCSへエントリーを果たし、Best Japanese Awardを獲得した。
その翌年は、同じくWEKFEST常連のLevel One JapanがAccord Tourer(CW2)、RX7(FC3S)、TSX(CL9)でエントリーを果たした。
※チームステッカーを始めとした全てのステッカー類を剥がして展示していたことから、『郷に入れば郷に従え。』というHCSへの敬意を感じた。
今年も、E30、2002の2台のBMWが展示されたが、これらの展示に関わる構想からセットアップ等は前述のカークラブ、ショップ、それらが有志連合、つまりUnitedとなり実現させたのだ。
■Chapter.03
さてさて、どこかオフザケに走りがちなIshikawa BodyのMasaru-sanから『今年ロッドショーに出してみようかと思うんだよねぇ~』と聞かされたときに、「おぉ!いいじゃない!特にコンバーチブルはShowでも栄えるし。ただ敷居は相当高いので、今までの感覚でエントリーするとヤバいかもよ・・・」と。
搬入直前のやりとりでも、どうもHCSのShowとしての格に対する温度差のようなものを感じていたが、いざ搬入を終えて他の車両のエリアを査察してみると、Masaru-san自身もクルマの仕上げもさることながら魅せ方のレベルの高さに圧倒されていた。
『まぁでも、自分らには自分なりの方法(魅せ方)もあるから、なんとかなるさ!』と実にポジティブな思考で搬入日を終えた。
翌朝、S13 Silviaのサイドシルに置かれた”Best Radical Award”のプレート。
“やりやがった!” “ロッドショーで認められるって相当自慢して良いっすよ!” “遂に来るところまで来たね!”と多くの祝福する声が集まった。
なにかとMasaru-sanばかりフィーチャーされがちだが、Police Carリバリーからサフェ仕上げまでBuddyとしてエントリーをしていた、Corolla GTS (SR5 LHD)のMori-sanの影響は大きい。今回のHCSへのエントリーもMori-sanの誘いからだった。
Mori-sanの影響力は大きく和歌山のInazumaworxのIkeda-sanもその一人。多くの人は『Ikeda-sanこそHCSにエントリーすべきだよね』と語った。しかしIkeda-san自身は『まだそのレベルに達していない。』という判断をしているらしい。憎いね!待ってるZE!
■Chapter.04
・De Lorean
Ishikawa BodyのMasaru-sanは”同業者”として他のエントラントのクルマ造り興味津々。
なかでも自身の真向かいに鎮座するデロリアンの造形には圧倒された模様。ステンレスボディをぶった切りアルミでワンオフされたオーバーフェンダー始めとしたエクステリア。
これらの施工はパンテーラのカスタムで知られているRisky Businessの手によるものだ。
オーナーを説得することが苦労した点という笑い話もあったが、実はオーナー自身も『デロリアンはノーマル至上主義か、タイムマシーンコスプレばかり。それじゃあツマラナイし、別にBTTFが好きでデロリアンを所有しているわけではない。だからやりきってやった!』という、デロリアンに対する愛を語ってくれた。
キワモノという見方をされがちだが、インテリアやトランクルームに至るまで、隙の無いカスタムカーでもあった。
こぼれ話としては、BTTFでは憧れの存在のクルマという存在であったHiluxが斜め隣に展示されたのは偶然らしい。
・Trinity Hiace
これまた、ハイエースとしては定番のカラーリングにラージリム。一見すると、HiaceにImpalaの内装とエンジンをスワップしたTrinityの定番カスタムにも見えるが、Cノッチから始まり左ハンドル化まで行われている。
これには、数々のAceを乗りこなしてきてTBPのKentaro-chanのビックリ!
・Winnebago Toyota
白地に水色のストライプといった悪く言えばオッサン臭いカラーリングが定番のWinnebagoだが、HCSに展示されたWinnebago Toyotaのキャンパーシェル部分は、Vanlife的なウケの良さげな落ち着いたカラーリングに、ヘッド部分はHiluxとはしては奇をてらわない赤というカラーアレンジとエアサスで着地というスタイル。
この絶妙なカラーリングセンスは語るとキリがないが、もし赤では無くて、アウトドアに媚びを売るようなカラーリングだったらココまで刺さる1台にはならなかったかもしれない。
「Hiluxとしての王道の赤をココに持ってきたか!」という定番と意外性の融合の勝利。
■Chapter.05
搬入日の夜間にアワードの選定を行い、翌朝の一般開場の段階でAwardプレートを各車両に配置する。カスタムの知見の浅い人に対して「あぁ~このクルマは何か表彰されたんだ!」ということを伝えらことができるしね。
ワタシも『HCSは凄すぎて何が凄いのかちょっと分からないよ!』と正直感じていたしね(^-^;
帰路に立たされ、窮地に追いやられてからの主催としての仕切り、及び参加者のマナー意識の向上を遂げてきたHCS。日本で乱立する多くのCar Showも、エントラント及びスペクテイターの育て方という面では学ぶ点は多くあるはずだ。
■Bonus Images