PHOTO,VIDEO &TEXT : HIRO MURATA (TOKYONUR / HIRO MURATA)
SPECIAL THANKS : SPOON Inc. / Built By Legends / Masaharu Kuji (BBL) / Katsu Takahashi (BBL) / Yuki Imamura (OTAMA.LLC) / Yashikazu Kasai (DBS.inc) / UNPARALLELLED / Ebisu Circuit
・The Golden Era “2021” // Built By Legends SPOON Civic EG6
■Introduction
全人類を襲った恐怖の疫病の余波が未だに治まりをみせない2021年。多くの人々にとって暗黒の時代と記憶されることとなるのは、歴史的な意味でも疑いようのない事実。しかし、そんな世情であっても今回のCoverageでFeatureするBuilt By Legends(BBL)に纏わる人間模様は、最上級と半分奇跡を交えたとても重要なPeriodを迎えていた。その瞬間を身をもって体感することが出来たことを光栄に思う。
・BBL SPOON EG6のProjectが、製作工程上のある一定の通過点を迎える
・Honda TuningにおけるLegend、Ichishima-sanはSPOON代表取締役を退きFounderのPositionへ移行し体制を変更
・SPOON(JP)は次世代CivicであるFL1を開発中
・SPOON USAとSpoon(JP)の共同で製作されたFK8のRace CarはThunderhill 25hでクラス優勝
これら全てが同一の時間軸で進み、Rea Timeで全てを感じていた、とてつもなく重要な2021年の歴史的瞬間のお話しです。
■Chapter.01
まず始めに登場があまりにも久々過ぎるBBL EGの歴史を手短に紹介したいと思う。
2020年にType Oneにて開催されたSPOON Collection 2020 (a.k.a 環八 Auto Salon)で、突如展示されたあのEG6だ。当時は、SPOONでBuildされたEngineが載っただけという状態で、実際にEngineが始動することは無かった。それでも、あの個性的なExhaust ManifoldやCarbon Doubling Floorに釘付けなるヒトは多かった。
その後、Projectが停滞していたわけではないがBBLのもう一つのProjectであるBBL Mine’s R32が完成を間近に控えたタイミングもあり、BBLの表立った活動はR32に注力しているように見えたヒトも少なくないだろう。
その間も、TokyonurはProjectの進行を見て聞いて、このProjectの舵取り役であるImamura-sanとの他愛もない日常の談話をしつつ、製作過程における貴重な瞬間を記録と記憶し続けてきた。(気になっていたトピックを忘れる度にImamura-sanにMessengerで聞きなおしているけどね)笑
■Chapter.02
現段階で詳細なParts Listを記載することはしないが、現状でPickupすべき要素のみ紹介する。
SPOON Collection 2020で多くのヒトが見たであろう、あのExhaust Manifoldは様々の事情を考慮し再設計された。これは、前方排気のB18のLayoutにおいて致し方ないことであり、尚且つSPOONのAir Cleanerの哲学である”ホンダの純正Air Cleaner Boxは優秀”という思想を基にしたメリットを考慮したうえでの判断となった。
樹脂製のAir Cleaner Boxの真横を通過するため、厳重に耐熱Titanium加工及び保護剤の貼り付けが施されているが、現在の姿はあくまでもTest中だ。
恐らくHonda Geekの人達にはその言葉の響きだけで食いつくとは思うが、BBL EGに採用されているRadiatorは、嘗てJTCCでEG9用に設計された貴重なものだ。BBLのBusiness Modelとして掲げている、Orderがあれば再現可能なLegend手によって産みだされる製品を組みわせたレストアというThemeからは若干逸れることにはなるが、これは究極の一品モノをSelectすることも可能というPresentation Modelとしての提案かもしれない。
Rearのコンペンセーターアームを廃したModifyは、EG6の個性でもあるDriverが積極的にRearを意図的振り回す楽しさの強調と、Sports走行性能をより向上させるための施策だ。
細かい要素にはなるが、多くのEG Ownerが待ちわびているであろうAluminum製のDoor Handle。EG6の持病とも言える樹脂製Door Handleの経年劣化による破損。BBL EGも例にもれず右のDoor Handleが破損している。長年Spoonでこの状況を見てきたImamura-sanならではのItemといえる。
ここまでが2021年9月の進行状況だ。
その後にProjectが急激に進行したのが2021年10月下旬だ。Tokyonurとしても全く持ってScheduleをあけていたわけではないが、BBLのKatsu-sanから”明日Type Oneで作業をする”っと一報が入り、早朝のType Oneに駆けつけた。(実は自宅から15分程度だけどね・・・・)
翌々日にEbisu Circuitで行われるShakedownに向けてのPit Inというわけだ。
世の中的には約1年ぶりのPublicな場所に現れるBBL EGは、Test CarらしくBBLのIconicなMt.FujiをThemeとしたCamouflageな偽装と、BBLのArt Directionを担うKasai-san(DBS)の手による”Test”のLetteringとBBL EG6という憎い演出。(このArt WorkはType OneのMechanicも車両を見送る最後に気付いたという”JDM Wabi Sabi”が本当にカッコよすぎる!)こうやって文字で書くとカッコ悪いんだけど、思わず言いたくなる要素なので(汗)
既にSPOON Collection 2020で公開されているので、隠すまでもない純正LikeなWide Fenderと、開発中のFront Bumperの姿はご想像にお任せする。
その他の作業としては、ブレーキ周りのRefresh、Super耐久仕様のEG6からのSeatの移植だ。
Type OneのMechanicも通常の作業では見ることのないInnovation溢れる車両に刺激を受けていたようだ。
作業は夜遅くまでかかり、2日後のShakedownに向けて期待と不安が織りなすなんとも言えない空気に包まれるType OneとBBL Memberの姿がそこにあった。
■Chapter.03
Tokyonurとしては近しいようで近寄れない存在のEbisu Circuit。これまで多くのDrift CarをFeatureしてきたにも関わらず、1度も足を踏み入れたことがないそんな場所であった。
それが、BBLをきっかけGripのTrack Day(UNPARALLELLED)で訪れることになるとは自分自身でも想像もしていなかった。
そのEbisu Circuitだが、2021年2月13日に福島県を襲った震度6強のEarthquakeの影響で、土砂崩れが発生しEast Courseも最終コーナー側を変則的Layoutで営業となっていた。
Shakedown当日のRace EngineerとしてOrange BallのNakajima-sanが招聘された。
敢えてFollow Upしておくが、Nakajima-sanはOrange Ballを立ち上げる以前はSPOONに勤務していた。(そしてOrange Ballという不吉なRace Flagの由来も語っておくと、決してNegativeな意味ではなくOrange Ballが出されてしまうようなクルマでも気軽にPit Inしてくれるような場所でありたいという思いが込められている)
つまり、今回のシェイクダウンはIchishima-san、Imamura-san、Nakajima-san、3人の偉大なるSPOON OBが揃うという運命的なタイミングだった。これまたBBLが巻き起こす自然発生的な瞬間が素敵だ。
Thunderhill 25h参戦に伴う渡米を直前に控えたIchishima-sanがReviewを行い、Nakajima-sanがSetting、Imamura-sanがCheckを行い、再びIchishima-sanが走行を重ねる。
Lunch TimeではUNPARALLELLEDの手によるBBQが振舞われた。
Lunch後も順調をLapを重ねるBBL EG。SPOON-ism/Ichi-ismが注入されていく瞬間でもある。
今回のShakedownは”問題無くクルマが走行できるか”それだけのCheckの予定だったのだが、大きなTroubleは無く走行を終えるどころか、今後のSettingのVisionも見えてくる収穫もあった。
BBL EGはCircuitでRaceをするためのクルマではないので、今後は車検を取得してStreetを舞台にRoad Settingが行わる段階に進んだのであった。
■Afterword
BBLはCircuit専用の車両を製作しているわけでもなく、Engine Bayを究極に造り込んで日常の快適性を犠牲にするようなことはしない。勿論Show CarというCategoryにおいてそういった要素を突き詰めてBuildするCultureはオモシロイ。でも、乗用車として常用出来ないのは、それはクルマが持つ魅力として悲しいことであり、常に身近に置いておきたい相棒とは言えないのではないか。あくまでもいメインカーに限った話しではなるが、海外のShow Carの見様見真似を実行した結果、常用できない結末は悲劇でしかない。
※「乗用車である以上、常用できることが前提である。」という言葉はLevel OneのIshiya-sanのIGを見て、良い言葉だなっと思い引用させて頂いた。
自分の大切なクルマと、長く付き合っていく術ともいうべき素晴らしい解釈だと思う。
海外の文化を取り入れなくとも、日本の名工の手による美学を継承することが新しく、そしてカッコいいと感じられるLogicを作り出したBBL。日本のCustom Car Cultureも再考すべき時を迎えたのかもしれない。